このブログに掲載されている「英雄の屍」の著作権は、管理人である北野ふゆ子に属しています。ブログはリンクフリーですが、無断転載、引用など、著作権侵害にあたるご行為はおやめ下さいますようお願い申し上げます。

Yahoo Messenger
お気軽にお声がけ下さい


others

北野ふゆ子
  • 北野ふゆ子
  • 昔は、ゲームやマンガの二次創作をしておりました。現在は主にオリジナルネット小説を執筆しています。得意は「シリアス」「アクション」「サスペンス」です。



超・長編小説同盟に参加しています。

私はClubA&Cに加盟しています。よろしければご感想をお聞かせ下さい。私も貴方の作品の感想をお送りさせて頂きます。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

このページの先頭へ
押印師ACT9-4
04
 
「あら、おかえりなさい」
 一晩ぶりに戻ってきた弟を、姉は呑気な声で出迎えた。いつもの様に、裏庭で彼女が育てているベリーの木からジャムを作る分の実を採取して戻ってきたところと、鉢合わせたのだ。
「おや、一晩どうしていたのだね、不良じゃの」
 その後ろから、野良着の祖父も姿を現す。この村では自給自足が基本であり、とはいえ長には使役人がついているものの、彼は好んでこうしている。イルトを出迎えた長は、叱る様子も驚く様子もなく、学校から戻った孫を出迎えたかのような素振りだ。共に裏庭に出ていた数人の使役人も、「ぼっちゃんお早うございます」と手に農具を持って笑顔でイルトを出迎えた。
「長、いまどき一晩留守にしたからって『不良』はお古いですよ」
「そうかのう」
 などと無駄話に笑いながら、使役人たちは先に台所方面へと消えていった。
「た、だいま…」
 自分を迎えた、日常から切り取ったような光景に拍子抜けさせられながらも、イルトはどこかで安堵していた。
「どうしたの、肩?」
 アムリが肩に指先を伸ばしてくる。そこは、印が発動して銃創を受けた場所だ。傷は完全に癒えているが、シャツの肩が綻んでいた。出かけた時に着ていたはずの上着もない。
「あ、これ、は…その」
 思わず肩を手で押さえて誤魔化し笑いと共に後ずさりしてしまうが、その必要は無いのだと気付く。使役人達が先に屋敷の奥に完全に姿を消したのを確認して、「それより」とイルトは祖父とアムリに向き直った。
「後で、大事な話があるんだけど…」
「え…?」
 表情を変えまいとしている姉の肩が強張るのが、イルトからも分かった。一方で、今は「祖父」の顔となっている長は、相変わらず白い眉毛と髭に隠れて面持ちが窺えない。
「まずは、着替えて食事にしたらどうかね?」
 手にしていた野菜の入った籠を満足げに持ち上げながらの長が、イルトを階上に促す。階上は、イルトの個室がある方向だ。
「そうする」
 言われてから急に空腹を自覚する。思い返してみれば、激しい「運動」をしたにも関わらず、ほぼ一日食事をしていなかった。それに、服のあちこちに破れ痕や汚れが残っている。
 足早に階上へと駆けて行く孫息子の背中を見上げて、長は聞こえない溜息を洩らした。
「ライズの時と同じだの」
「……」
 更にその後ろからアムリが、年々小さくなっていくように思える祖父の背中を見つめていた。

 部屋に戻るなりイルトは本棚に駆け寄った。
「えーっと…確かここに」
 記憶を頼りに検討をつけて、本棚に所狭しと並べられている本を引っ張り出した。床に盛大な音をたてて本が散らばり、山になっていく。その中から、大判の地図帳に挟んである封筒を見つけた。
 ミソラの部屋にあった物と同じ、三獣の紋章が印刷された、大判の茶封筒だ。
「………」
 それを拾い上げる。
 意気揚々とした教師に手渡された時には全く感じなかった、重く厚い手触りが指先から伝わる。
 封さえ切っていないそれを机の上に置き、ペーパーナイフを取り出す。左手で封筒を押さえ、右手で慎重に隙間からナイフを差し込んで、一呼吸と共に一気に開封した。
 中からは、複数の冊子、束なった書類が真新しい状態で出てくる。その中で最初に目にとまったのは、黒く塗りつぶされた表紙に、三獣が金色で箔押しされている小冊子だ。手に取ると、「アリタス国軍仕官養成教育大学校歴」のタイトル。要するに、士官学校の学校案内だ。
 表紙を開くとまず、現在の総統フューリーの写真。そしてどこから撮影したのか、ACCと士官学校校舎の俯瞰写真が載っている。
 ACCはイルトにとって、足を踏み入れたことの無い未知の世界だ。アリタス古典形式と呼ばれる様式で統一され整然と並ぶ建造物、都市計画に基づいた統一感のある街並み。どれもグレリオ周辺にはない光景だ。
 ページを捲っていくと、それからしばらく長々とカリキュラム紹介が続いた。ミソラが言っていた専門技術資格取得に関する項目もあり、その中には医師免許も含まれていた。
 更にページを捲っていくと、五分の一程のページ数を割いて、国軍の紹介をしている。士官学校では希望と適正に沿ったカリキュラムを個々人ごとに組まれ、卒業後は細分化した適正データの元、適所への配属が決定されるという。入軍時は士官学校卒のキャリア組も一兵卒と同じ扱いの下士官から始まり、経験と能力に応じて尉官、佐官へと位が上がっていく。士官学校卒のキャリア組には最低限、少尉までの昇格が確約されている。その最低ラインにどれだけ早くたどり着けるのか、そしてどれだけ更に上へと上れるのか。本当の出世と生存競争はそこから始まるのだ。
 冊子には、部署紹介(一部抜粋)と共に第一線に立つ幾人かの仕官のプロフィールが掲載されていた。といっても、氏名と卒業時の専攻科と現在の所属部署と一、二行程度に簡略化した戦績紹介のみであるが。
 顔写真は掲載していないが、いずれも、マスコミ露出係と思われる、マスメディアで名前や顔を目にした事のある名前が並んでいる。また、現在は既に没している過去の功労者達の名も、別枠で掲載されていた。ここまで来ると、「史実の人」である。
「…………あった」
 現役仕官の中に、イルトは彼の名前を見つけた。
 冊子は毎年改定されている。グレンが退役したと言っていたのは十年以上前であるはずだが、こうして現役扱いで名前を出されているのは何か国軍側に意図があっての事だろうか。
 そんな事を考えながら、イルトはグレンの項目を読む。
「司令部、管区司令室、西方管区、グレン・イーザー。中将。史学専攻。主な戦歴、ブレスト峰防衛戦、アスタユ遺跡平原防衛戦、ベノア鉱地区奪回戦にて総指揮を執る―、え、史学専攻??」
 居並ぶ現役司令部の面々が揃って「情報戦略専攻」である中、さりげない「史学」の二文字は酷く目立った。
「何で史学……「趣味だから」とか言わないよなまさか、いや言いそうだ」
 奇妙な予感と共にイルトは更にページを捲る。歴代の戦功者達の名前が並ぶ中にも、彼の別名を見つけた。彼が持つ六つの名の中で恐らく二番目に著名であろうグレンビル・アルベールの名があった。
「地学専攻…か…」
 こちらはまだ理解できるがカリキュラムを見る限り、史学専攻は最も戦略策案業務から遠い学科の一つに見えてしまう。もっとも彼の場合、基礎どころか応用も既に修得済みなのであろうから問題無いのかもしれない。
「頭の良い奴は何考えてるか分かんねえな」
 毒づきながら最後までページを捲り終えて、イルトは冊子を閉じた。

 その頃、何を考えているか分からないと思われている本人は、同じ冊子を診療室の机の前で手にしていた。
「傷は痛みませんか」
 横から声をかけられて、顔を向ける。薬局に買出しに行っていたミソラが戻って来たところだった。
「申し訳ない、ちょっと拝借していました」
「いいえ。あなたに見られて困る物はありませんから」
 言われて、グレンは机の周囲に目をやる。自分以外にも見られて困る物も特に無さそうではあるが、もしやと思い、それを口にしてみる。
「誰かに進学を、反対されているのかな?」
 図星だったようで、診療室代わりのリビングに足を踏み入れかけたミソラの瞳に、一重の緊張が過ぎ去った。だがそれは一瞬の事で、「ええ、まあ」と短く応えたミソラの黒目がちの瞳は、常どおりの色に戻っている。
「でも私、絶対に合格する自信があります」
 彼女なら可能だろう。グレンはそう思ったが、そこは口にしなかった。
「その自信は大切だね」
「でも、それはあくまでも受験の話ですけど。」
 思わぬ誉め言葉に、ミソラは手にしている袋を可動台に置いてわざとグレンに背を向けた。
「その後の事は分かりません。学校について行けるのかも、免許がとれるのかも。ここで多少成績がよくたって、セントラルに行けば山ほど私よりも優秀な人がいるでしょうから」
「そういう慎重さと謙虚さも大切だよ」
「………」
 思わず買ってきた薬を袋から出す手の動きが不自然になり、取り落とした瓶が袋の中で衝突音を連続させた。
 誉められる事に慣れていない子どもは、嬉しい気持ちを表に出すことが苦手なようだ。だが背中は実に雄弁で、グレンはそっぽを向く小さな少女の背中に微笑む。
「あなたは、イルト君とご兄弟なのですか?」
 手を動かしながらミソラが尋ねてくる。
「似ているかな、私と彼は」
 それが照れを隠す目的なのだとグレンには分かっていたので、あえて視線を手元の冊子に落として静かに応えた。
「いいえ、全く」
「はは、そうだろうね」
 ページを静かに捲りながら、グレンが口の中で小さく笑うとミソラが瓶を片手に振り向いた。
「私、イルト君が羨ましいんです」
「……羨ましい?」
 ページをめくる指が止まり、グレンは再び冊子から顔を上げた。
「学校にいた頃のイルト君は、頭が良くて、運動もできたし、明るくていつも大勢の中心にいて」
 冊子を手の中で開いたままでグレンはミソラの言葉を聞いていた。少女は表情の変わらない黒目がちの瞳を手元の薬瓶に落としている。
「適切な言葉が思い浮かばないのですが、祝福されている人だなって、いつも思っていました」
「祝福…か…」
 祝福されている人。
 霞みの無い山間の空に昇る太陽のような輝きが似合う、本来の田舎育ちの青年に相応しい言葉。だが今はこれ以上無い皮肉にも聞こえる。グレンの相貌に瞬時たゆたう影に気がつき、ミソラは思わず包帯が巻かれた腕を見た。傷が痛むのかと思ったが、そうではないようだ。
「私は今の自分は嫌いじゃないです。それに、私とイルト君は別の人間だから、イルト君みたいに、大勢に祝福されなくてもいい。でも、一人だけでいいから、私が選んだ道を祝福して見送ってくれたらって思って…、だから羨ましいんです」
 その一人が、今この場にいない、診療所の主である事に気付くのは容易だった。
「……君は」
 グレンは冊子を静かに閉じると机の上に置いた。
「何故、その話を私に?」
 窓から差し込む朝日の中、穏やかな両眼がミソラを向く。
「あなたとイルト君が、似ていたから、です」
 ミソラが両手で何の気なしに弄っていた薬瓶。その蓋を開けながらそう語る、表情に乏しい黒目がちの瞳に、グレンは初めて微笑みが生まれるのを見た。
「父が戻る前に、もう一度消毒をします」
 蓋が開くと同時に真新しい消毒薬の鼻腔をつく芳香が漂った。瓶を可動台に置いてミソラは乾きたてのガーゼをピンセットで器用に折りたたみ始める。
「逆に彼は、君が羨ましいのだと思うよ」
 慣れた手つきで左腕の包帯を片手で外すグレンは、視線を包帯に向けたまま言った。
「私が、ですか」
 外されていく白い布筋を見つめていたミソラの瞳が、グレンの横顔に向いた。窓から差し込む光は徐々に明るさを増していく。少し眩しそうな横顔を、ミソラは見つめた。
「君みたいにしっかりした同年代の子を見て、感じるものがあったみたいだ」
「しっかり、していますか、私」
 傷口が現われるに従い、包帯も汚れ始めてくる。出血はほぼ止まっていたが、当然の事ながら傷口はまだ生々しさを残していた。ミソラは表情を変えずにそれをしばらく眺めると、消毒薬を染み込ませたガーゼで傷口の周辺を拭き取り始めた。
「真っ直ぐと芯の通った心、決断、そして自信。私も見習いたいぐらいだよ」
「………」
 危うく手元が狂いそうになって、ミソラはグレンから目をそらして手元に集中して俯いた。それは同時に、赤面したところを見られたくなかったからでもある。
 それをきっかけに言葉が途切れた。軽い酔いを誘う消毒薬の香りだけがしばし、その空気の中で自己主張し続けていた。


 イルトが室内に足を踏み入れると、十八年間イルトの父親代わりだった祖父は、書斎の植木の手入れをして背をこちらに向けていた。
 応接室にもなる一階の書斎は、窓際に黒く大きな文机が置かれ、その両側は厚い本棚に囲まれており、部屋の中央には表面を加工した石造りのテーブルと一人がけソファが四脚置いてある。
「じ……」
 「爺(じじ)」と呼びかけて、イルトは「長」と改めた。緩慢とした動きで祖父が振り返る。
「話を聞いてほ…聞いてくだ…―お話ししたい事があります」
 だいぶぎこちないイルトの言葉に長は、深く皺に刻まれた顔を苦笑の形に動かした。
「そこにお座り」
 自覚しているようで、イルトは複雑な面持ちを浮かべて進められた席についた。手にしていた封筒を、テーブルに置く。三獣の紋章が印刷された茶封筒だ。
「俺―」
 頭の中で何度も反芻していた言葉を、イルトは祖父を目の前に再び脳裏で繰り返す。だがそれが声となって出てこない。三度ほど小さな深呼吸をした後で、意を決したように開封済みの封筒から冊子を取り出す。
「仕官学校に進学したい―です」
「仕官学校とな―」
「わ、分かって―ます、学校卒業して半年間、何もしないで村でぶらぶらしてて、今頃急に何いってるんだって思われるって事は」
 何か反論を返される前にとにかく思いを口にしたい、その勢いでイルトは無理やり祖父の言葉を遮った。
「でも俺は、本気です。士官学校で勉強がしたい」
 膝の上で硬く握られた両手の拳が、我ながら若干震えているのが分かる。情けないと思いつつもイルトはまっすぐに祖父の目を見つめた。白い髭に覆われた口元では、その面持ちを伺いしる事はできないが、とにかく目を逸らさぬよう、必死だった。
「あの人に、何か言われたの?」
 背後から声。振り向かなくとも主は分かった。唯一の姉。母親を早くに亡くしてから、母代わりに自分の面倒を見てくれた、姉だ。横をすり抜けていく気配の後、長とイルトの間で三角形を描く位置に自分で椅子を引っ張ってきて、腰掛けてくる。
 「あの人」とはグレンの事だろう。イルトは首を横に振った。
「これを渡されたけど、他に何も言われていない」
 言いながらイルトは再び封筒に手を伸ばし、中からビニールの小さな包みを取り出した。それを封筒の横に置き、覆いかぶさるビニールを一枚一枚開いていった。首をかしげたアムリの面持ちが、次第に中身が姿を現すにつれて変わっていくのが分かった。
 中にあったのは、血に塗れた封筒が一枚。
「な、なに?これ…」
 水に濡れた為に縮み、血で汚れて全体的に変色してしまっている封筒を見て、アムリは小さく息を引きつらせた。祖父は黙って見下ろしている。
 その封筒は、グレンがラースルの亡骸から取り上げたものを、そのまま持ってきたものだ。イルトの手が、乾ききっていない封筒を開ける。指先に水混じりの血液が付着したが、構わず続けた。中から、これも真っ赤に変色してしまった小切手を引き抜く。辛うじて金額や名義が確認できる程度には無事だった。
「父さんが、あの人に預けていたものだって」
  受取人指定 イルト・グレリオ・サイファ
  支払人名  ライズ・グレリオ・サイファ
 紙には、高額を現す数字と共に、そう書かれていた。
「これを、学費に充てたいんだ」
 驚く姉と、静かな祖父を前に、イルトの手の震えは止まっていた。
「グレン殿がこれをライズから預かっていた…と」
 小切手を手に取り繁々と眺める祖父。その隣からアムリが恐る恐る覗き込んでいる。
「嘘じゃない。あの人に何か言われたわけでもない。むしろ俺を遠ざけようとした。俺が進学したいと思ったのは俺自身の判断で―」
「でもあの人が関係しているのでしょう?」
 アムリがイルトに向き直る。少し声量が上がっていた。
「どう考えたって変よ。急に現われた得体の知れない人に影響されて、それで進学なんて大事な事決めちゃうなんて」
(我ながら今でもそう思うんだけど…)
 内心で苦笑してイルトはアムリの言葉を聞いていた。
「グレリオ・セントラルで何があったの?」
 帰宅した弟の血と泥で汚れた服を見た時、思わず声を上げそうになったのを堪えてアムリは、抱えていた果物籠を落とさないように指先に力を入れていた。いつものように、彼が学校から戻ったところを出迎えるのと同じようにする事で、アムリ自身も平静を保ちたかったのだ。
「えっと…読んで走って刺されて撃たれて殴って刺して…」
「「ええ?」」
「あ、いや…」
 声を揃えて驚かれてイルトは思わず肩を縮めた。
 一息はさんで、イルトは改めて二人に向き合う。
「どう言えばいいのかな…本当に短時間のうちに色々あって。もっと知りたくなったんだ。グレリオの外で起こっている事を」
 見るもの、聞いたこと、全てが好奇心を刺激した。人が一人、命を落とす瞬間を目の当たりにした時も含め、全てがこれまでのイルトが存在した世界の外での出来事だった。
 学校にいた頃、地学教師の話を夢中で聞いていた頃を思い出した。
 事象の理を示す数式や物理の授業は毎日が発見だった。
 なのに何故、卒業間際の自分はその興奮を全て忘れ去っていたのだろうか。
「今はもっと、話を聞きたい。見てみたい。勉強がしたいって、強く思う」
 今になって湧き上がる思いに見合う言葉を見つけられず空転するようで、イルトは口惜しそうに軽く下唇を噛む。
「ふむ」と手にしていた紙をテーブルに戻して、祖父の顔で長はゆっくりと言葉を向けてきた。
「士官学校に入るという事は、どういう事か分かっているのかね」
 いずれ国軍に士官するという事だ。イルトは頷いた。
 アムリが批難を浮かべた瞳で長を見やるが、何も言わなかった。
「国軍に士官するという事が、どういう事か分かっているのかね」
―それがどういう事か、君は分かっていない
 祖父の声に重なって唐突に、昨晩のグレンの言葉が思い浮かんだ。
「―分かってる。よく」
 射抜くようなイルトの瞳は、目の前の祖父と姉を通り抜け、時に不敵な言葉を吐く男の幻影へと向いていた。




ACT9-5⇒
スポンサーサイト

このページの先頭へ
| BLOG TOP |
Powered by FC2ブログ / Template by chocolat*
Copyright © 2005 英雄の屍 All Rights Reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。