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北野ふゆ子
  • 北野ふゆ子
  • 昔は、ゲームやマンガの二次創作をしておりました。現在は主にオリジナルネット小説を執筆しています。得意は「シリアス」「アクション」「サスペンス」です。



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押印師ACT12-3
03

「話を戻すわね」
 こめかみに青筋をたてかねないソラリスの声が、刺すように冷たい。
「ふぁ、ふぁい…」
 ラルフは背を丸めて、殴られた頬を撫でていた。涙目になっている。完全な自業自得なので、同情の余地は無い。
「この結果を、私はどうすれば良いと思う?」
 グレリオセントラルで起こった殺人事件、そこで検出された血液が、十数年前に死んだ故人の物と合致した、という検査結果の事だ。
「ううん…」
「この目で確かに死亡を確認した人が、生きていたかもしれないんですなんて」
 ソラリスの声調は、既に通常に戻っていた。
「そんな非科学的な事をどう説明するべきか……」
 ますます捜査を混乱させ、それどころか、公式の死亡報告書を作成したソラリスの責任も問われかねない。それぐらいはラルフにも想像できた。
 殴られた事は忘れよう。そう思い直してラルフも、いつも通りに尋ねる。
「もう片方の血液は誰なのか、目星はついているんですか?」
「こっちは、指定された範囲では該当するものがなかったわ」
「まさかイーザー将軍なんて事は?」
「…………」
 しばしの絶句の後、
「何を言っているの。そんなわけ…」
 ソラリスは苦笑と共に答えたが、ラルフの面持ちは真面目だった。
「イーザー将軍って、今は?最近まったく噂を聞きませんが」
「シールズ大佐が捜索任務を担当しているのよ」
「捜索?行方不明なんですか?」
「詳しくは知らないけど」
 国民は勿論の事、軍部内に「退職」の報せさえ渡っていない。
「ほら、何かありそうじゃないですか」とラルフは手を鳴らした。楽しそうである。
「もともと、ありえないはずの人間である可能性が高いんです。この際、何でもありで考えてしまってはどうです?」
 持っていたペンの尻で、ラルフは書類の赤く印のつけられた「ライズ・グレリオ・サイファ」の箇所を示した。
「あなたね、都合よく私の昔話に登場した人物を結び付けているだけでしょう。コイントスでいくら連続して同じ面が出続けたからって、そのあとも出続けるとは限らないのよ?」
 呆れた様子のソラリスは、肘を突いた手を頬に当てた。ラルフは封筒を抱えていた手を机に乗せて、手の平を開く。
「ソラリス医師、ちょっと見ていてください」
 言いながら、ペンで素早く手の平に模様を描く。すると、机の上に置かれたグラスの中にのこっていた水が、突然高く跳ね上がった。
 コップから飛び出した水粒が中空で集まり、一つの球体となる。ラルフの「戻れ」という短い命令に従い、ゆったりとした動きで水の球体はコップの中へと戻っていった。
「今のは、ごく低級な水の精霊印です。こんな「非科学的なモノ」を扱ってると……」
 言いながら、手の平に描いた模様を拭き消す。すると、コップの中で球体を保っていた水が、ぼちゃりと音を立てて元に戻った。
「奇跡ってものを信じたくなるんですよ」
 非科学的なモノ。
 それは以前、ソラリスと口論になった際に言われた言葉である。
 現実的調査と検証、科学的実証の世界に生きてきたソラリスにとって「精霊の印」は、医学と相容れない存在だった。だが、自らの希望で被押印者のメンテナンス医療に当たるようになってから、世の中を構成するものは、科学的根拠が全てではないと知るようになる。
「昔の私ならきっと、あなたを変人呼ばわりして終わったでしょうね」
 リストを両手で揃えながら、ソラリスは静かに微笑む。
「それはそれで、楽しいですよ。ソラリス医師」
「そういうのマゾっていうのよ、変態!」
「だからどうしてそうな…」
 近くを通りがかった若い女性研究員が、ソラリスの言葉を聞いて「また?」という視線を二人に向け、苦笑しつつ去っていく。
「ちょっと…!」
 ラルフは慌てて訂正を求めるが、声をかける前に研究員は逃げるように角を曲がって姿を消してしまった。ソラリスのおかげで、ラルフはこの部屋において「女性経験ゼロ」で「ロリコン」で「マゾ」で「変態」という数々の目もあてられないレッテルを貼られている。かつて受けた「前科者」という蔑視はとっくにかき消されていたが、それより酷い気がしないでもない。
「まあ…いいですよもう、今更」
 ラルフを変態呼ばわりするのは、ソラリスが元に戻っている証拠だ。ラルフは盛大な溜息をついて見せるものの、内心は大して自分の評価など気に掛けていないのだった。
 そんな彼の心を知ってか知らぬか、ソラリスは「そうそう」と顔の前で両手を叩いた。
「あなたの方はどうなのよ。検体の体に残っていた印の調査。進んでるの?」
 ソラリスの指は、ラルフが手にしている茶封筒を指し示している。封筒の中身は、R指定が必要なグロテスクな遺体写真であるが、ソラリスが相手では隠す事は無意味だ。
「それが、ソラリス医師のようにすんなりといかなくて」
 苦い面持ちで写真を机に取り出した。遺体の胸元に空いた穴が大写しにされている。肌の上に茶黒く浮かび上がっている模様のほぼ中心には穴が穿たれており、ラルフでさえ長くは凝視していたくない画だ。だが、ソラリスは眉を微塵も動かさずに写真を見つめている。
「見える部分だけで推測しても、こんな印は見たことないんです。印に関わる様々な文献を調べたのですが、該当するものがなくて行き詰っちゃいました」
「印じゃないって事かしら。単なるタトゥーだったとか」
「そうかもしれないです。ただ、世の中に存在する印で把握されているものって、実はかなり少ないんです。極めて珍しい印なのかもしれない」
「それじゃどうしようもないわね」
 ソラリスの声には、同情が含まれていた。
「でも」とラルフの表情は明るい。
「そちらの血液が判明したとあれば、こちらの手掛かりにもなりそうですよ。非科学的な出来事の裏に「精霊印」の存在をまず疑え。これ、セオリーですからね」
 明らかに楽しんでいる風のラルフに、少しばかりの窘めを口にしてからソラリスは「そうかしら」と答える。
「まあ、まさかとは思うけど、あなたが言う線も調べてみることにするわ」
 突飛すぎるが、行き止まりに現れた一筋の活路である可能性もある。渋々、または半信半疑で、ソラリスは肩を竦めた。
「それにしても何でこんな急に昔の事を、あんな鮮明に思い出したのかしら、私…」
 呟きながら、ソラリスは無造作に手元の書類束を整える。そして唐突に、
「そうだ!」
 と勢いで両手を叩いたおかげで、せっかく整えた束を再びデスク上でバラけてしまった。だがそれを気にする事なくソラリスは「そうそう」と再びラルフに詰め寄る。
「不思議な事があったの。「非科学的」な事が得意なあなたなら分かるかしら」
「な、なんですか?」
 勢いに圧倒されたラルフは、思わずたじろぐ。
「さっきの昔話の続きよ」
「何か非科学的なこと、が?」
「そう。このサイファ中佐が私の記憶に引っかかっていた、一番の大きな原因」
 再び机に両腕を乗せて前屈みの姿勢をとることで、ラルフは続きを促す。
 ソラリスの記憶は、イーザー指揮官とグスタフ大佐の会話を耳にした時から、二時間程後に移る。
「私、上官命令でサイファ中佐の死亡確認書を作ることになったの。そのとき、遺体が酷く汚れていたから、血と泥を拭ってあげて…」
 一つずつ、自分が行った仕事を思い起こす。
 あの後、イーザー指揮官の方は貧血を起こした為に、上官軍医は彼に付き添わねばならず、護衛官の死後処理はソラリスが全て一人で行う事となった。他の軍医達も出払っており、彼の遺体が安置されたテントには、ソラリスだけが残っていた。

 サイファ中佐の軍服や肌を汚す血と泥を拭っていくと、胸部に大きな刺傷を見つけた。他にも下腹部や首筋等に裂傷が出来ており、どれが致命傷となったのか判断がつかない程、護衛官の全身は傷つけられていた。反して顔面に傷はなく、汚れを拭うときれいなままで、まるで眠っているように見える。
「…………」
 まだ空欄の死亡報告書類を手にしたまま、しばらくソラリスは護衛官の遺体を見つめ続けた。胸の刺傷は背中から突き立てられたもので、彼の厚い胸板を貫通している。これと似た形状の傷が、イーザー指揮官の肩口にもあった。
(文字通り、彼が体を「盾」に……)
 こうして傷を眺めていると、嫌でも様々な事が分かってくる。凶器は護衛官の背に刺さり、本来の標的であった指揮官に浅い傷を付けただけにとどまった。他にも指揮官と共通する傷跡が幾つか見られる。身長差を考慮して傷の位置を比較すると、彼は指揮官の頭を抱え込む形で盾になっていた事が推測された。これらも、一つ一つ調べて死亡報告書に記さねばならない。
「もうこんな時間」
 傍らに置かれた時計は、とうに日付を越えた時刻を示していた。せめて寝る前に下書きだけでも済ませてしまおうと、ソラリスはファイルボードを手に取る。その時、背後で人の気配を感じた。上官が戻ってきたのだろうか。
「申し訳ありません、まだ報告書が…―」
 言いながら出口を振り向くと、そこにいたのは白衣ではなかった。
「し、指揮官殿……!」
 テントの入り口から姿を現したのは、緑地のロングコート、裏地は紅。肩章は無地の金に銀星が一つ、少将の証。
「失礼する」
 短く断りを入れながら彼は、テント内の奥、ソラリスの向こうに横たわる護衛官の遺骸に視線を向けた。
「あの……」
 戸惑うソラリスの前を横切って、イーザー指揮官は寝台の前に立つ。しばし無言で遺体を見下ろす背中を、ソラリスはただ見守るしかできない。気を遣って出て行くべきか、遺体を任されているという立場上ここに残るべきか、迷っていた。
「医務官」
「は、はい」
 突然に声をかけられ、ソラリスは肩を強張らせた。指揮官の声は、低く、平坦だ。
「氏名と階級は」
「ソラリス・クリューガー。少尉であります」
「ああ、君が……」
「??」
 まるで自分を知っていたような口ぶり。不可思議に感じながらも、今はそれを問うべき時ではなかった。ソラリスが理由を知ったのは、もっと後になってからになる。
「君は口が固い方か」
 理由を口にする代わりに、彼から出てきたのはそんな問いかけだった。
「は…、約束は守るものと、心得ております」
 ソラリスの答えは、この若い指揮官を満足させるものだったらしい。肩越しに振り向いた彼の面持ちは、僅かに笑んでいた。「では」と言葉を挟みながら、イーザー指揮官はまた視線を護衛官の遺体に戻す。
「これから目にする事を、最低限この戦争が終わるまでは決して他言しないよう約束して欲しい」
 ソラリスの立場を理解している彼は、「出て行け」とは言わなかった。それは仕方の無い事で、鑑識中の遺体から目を離す事を禁じる、その規約書に承認印を押したのは立場上、彼なのだから。これは、戦死者の遺物を確実に回収する為の業務規律の一つなのだ。
「はい、決して」
 頭上に疑問符を残しつつも敬礼で応え、ソラリスはテント出口付近まで下がった。
「ありがとう」
 そう静かな言葉を返して、再び指揮官は遺体と向き合ったまま動かなくなった。
「………」
 ソラリスが辛抱強くその背中を見守り続けていると、徐に彼の左手が動く。遺体の胸元にそっと添えて、またしばらく動かなくなった。聞こえない語らいが交わされているようにも見える。そして突然、ざっくりと砂に沈み込む音を立てて、指揮官はその場に両膝をついた。
「!」
 思わず持っていたファイルを落としそうになり、ソラリスは胸の中できつく抱きしめた。息をとめて、彼の様子を見つめ続ける。
「…………」
 イーザー指揮官は寝台の前に膝をつき、遺体の胸元に縋る形で顔を伏せていた。添えられていただけの左手が、遺体の軍服を掴んで握りこぶしを作っている。彼の背中や肩や手元が震えているように見えるのは、気のせいではないはずだ。
(私、どうすれば……)
 呼吸音さえ出してはいけない気がして、ソラリスは胸にファイルを抱いたまま、口元を両手で覆った。テントの外からも、何故だか物音一つ聞こえてこない。目の前の光景が、雪のようにすべての音を吸収してしまっているのではないかと思えるほど、テントの中は静かだった。
 居た堪れなさから逃げ出してしまいたい気持ちと、見守り続けなければならない気持ち、誰もテントに入って来ぬ様にと祈る気持ちとが、脳裏でぐるぐると高速回転し続けている。
 瞬きを忘れていた為に、眼が乾いて涙が出てきそうだ。ソラリスは眼鏡の奥で、強く瞳を瞑った。
「…………?」
 生理的な涙をやり過ごして少しずつ瞳を開くと、さきほどまで眼にしていた光景に異変が生じていた。
(え……?)
 見間違いかと思い、ソラリスは二度三度と瞬きを繰り返してから改めて目を見開いた。テントの中には、護衛官の遺体、指揮官、自分の三人がいた。
 そこに、一人増えているのだ。
「っ!?」
 跪く指揮官の傍らに、新たな人影が一つ。軍服を着込んだ、長身の後ろ姿が立っていた。
 テント内に置かれたランプの弱々しかった灯りが、無風にも関わらず強くゆれて燃え上がった。まるで、鬼火のように小さな爆ぜ音を立てながら燃え立ち、周囲に淡光を散らしている。
(だ……誰……誰!?)
 両手で押さえたままの口が、無様に動くだけで声が出ない。脚が竦んだソラリスの目の前で、長身の人影が灯りに照らされて陽炎のように揺らいだ。よく見ると、その体の向こうにテントの布幕が透けて見えており、足元には影がなかった。
 こんな非科学的な事があるわけがない。ソラリスの医務官としての理性が、瞳に映っている光景を懸命に否定しようとしている。だが一方で感受性が、この「奇跡」を受け入れようともしている。背中を向けた人影の幻は、跪いたまま動かない指揮官を見つめていた。ソラリスが立つ角度から辛うじて目視できる横顔は、
(サ…サイファ中佐………?)
 寝台に横たわる白い横顔と同じ。表情の無い横顔で、ただ己の主人を見おろしていた。そして徐に動いたかと思うと、伸ばした左手が、動かない指揮官の肩に置かれた。指揮官はこの状況に気がついていないのだろうか。死んだ部下がそこにいる、姿を現していると、伝えるべきなのか。
 だがソラリスの喉の奥では、空気が空回りするだけで声が出ない。
「!」
 ソラリスの目の前で、また「非科学的」な事が起きる。指揮官の肩に置かれた護衛官の手が、徐々に光彩を失くして行くと共に、イーザー指揮官の体へ沈み込んでいく。寝台近くに置かれた蜀台で、灯火がひときわ大きく爆ぜ、テント内が一瞬皓光に包まれる。思わずソラリスは口元を押さえていた両手で顔全体を覆った。胸元に抱いていたファイルボードが落ちて、書類とペンが転がる。
「やっぱりここか」
「きゃあああ!」
 突然、真後ろから別の声がした。たまらずソラリスは声を上げてその場にしゃがみ込んだ。
「何だっ、驚きすぎだぞ」
 背後からテント内に入ってきた声の持ち主も、ソラリスの声に驚いて戸惑いを見せる。妙に現実感のある声に顔を上げると、うずくまるソラリスの様子に肩を竦めるグスタフ大佐がいた。すっかり腰が抜けた新米医務官の脇を通り抜け、グスタフ大佐は寝台の前の指揮官の元に歩み寄る。
 護衛官の幻影は、いつの間にか消えていた。蜀台の明かりは何事もなかったかのように、弱々しく揺れているだけだ。グスタフ大佐は上から護衛官の遺体と、そしてそこに上半身を預ける形で伏せているイーザー指揮官の顔を覗き込む。
「泣き疲れたのか?ガキかお前は」
「ね、ね…眠っていらっしゃるんです…か?」
 笑う膝を叱咤してようやくソラリスは立ち上がる。少し冷静さを取り戻して観察すると、指揮官の背中が呼吸と共に規則正しく上下しているのが分かる。
(中佐に……連れて行かれてしまったかと思った……)
 安堵の深い溜息を吐き出すと、ようやく夢から覚めたような気持ちになった。
「仕方ない奴だな、まったく」
 大佐の大きな背中が、少し大げさな溜息と共に動いた。そして、寝台に折り重なる二人を見おろして彼もまた、しばらく動かなかった。
「………お前ら二人とも馬鹿だ」
 誰に告げるともなくグスタフ大佐は言葉を零しながら、上背のある体を屈めた。両手を寝台につき、指揮官と護衛官の両者を上から包み込むように己も頭を垂れる。
 まるで、ずっと昔に聖堂で眼にした宗教画みたいだと、ソラリスは思う。「祈り」というタイトルの絵で、聖櫃に深く傅いて祈りを捧げる巡礼者達の後ろ姿を描いたものだった。
 
「思い出した…そう、そんな事があったの」
 呟かれたソラリスの声で、ラルフは我に返った。
「はあ………それは……」
ソラリスが語る戦場の話はあまりに静謐で、耳にしているうちに意識がどこまでも深く引きずり込まれそうになる。
「この十数年、誰にもこの話をしなかったわ」
「大した口の固さで」
 呆けていたとはいえ、我ながら頭の悪い返答にラルフは軽い後悔をする。
「そんなのじゃないわよ」
 交わした約束の遵守という使命感からではなく、記憶が固い蓋の下に閉じ込められていたように、今まで封じられていたのだ。
「どう?何が起こったのだと思う?」
「どうっていわれてもですね……」
 超心理学とでも言うべきか、とにかく幽霊はラルフの専門外だ。ただ一つ引っかかるのは、
「中佐の幽霊が、指揮官の体に吸い込まれていった?」
 という点。
「の、ように見えただけで、本当にそうなったのかどうか」
 何か気になる?とソラリスは、盛んに何か考え事をする様子のラルフを眺める。
「…………ちょっと、今の段階ではまだなんとも」
 煮え切らない返答を漏らした直後、ラルフは「でも」とソラリスをまっすぐ見据えた。
「さっき話したもう一つの血液、冗談抜きで「グレン・イーザー」の線を調べてみてくださいよ」
「何よ急に」
 もとより、この出来事を思い出した時点でソラリスの意向は決まっている。
「結果が出たら、ぜひ教えてください」
「いいわよ」
 心が決まれば、行動は早い。ソラリスは早速、資料室に向かうべく席を立った。





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